ヒレ肉?ヘレ肉?あなたはどっち?! お肉じゃない実は奥深い言葉のお話

日常

スポンサーリンク



先日見ていたテレビで、関西人のアナウンサーと東京出身のアナウンサーのお二人が、スーパーのお肉売り場で「ヒレ肉」か「ヘレ肉」かと呼び方ですったもんだ言っていたんですよね。

関西人のアナウンサーは、「ヘレ肉」と言い、東京出身のアナウンサーは、「そんな言い方いままで聞いたことがない!ヒレ肉ですょ。」と。

そこでハタと気づいたのです。何気なく言っていましたが関西人である私はヘレ肉と言っています。

肉の部位にヒレというのがあるというくらいは認識していましたが、言葉では「ヘレ肉」とちゃんと言っていました。

そこで、今回はこのビミョ~に違う言葉の不思議について、調べてみることにしました。実はとても奥深い「ヒレ」「ヘレ」 の言葉のお話をご紹介します。

さて、あなたはどっち派でしょう?

この一見バカバカしいような言葉の違い、お仕事の休憩時間、あるいは仕事の帰りの電車の中ででもサラッとご覧ください。 へぇ~! と言うちょっとした感動の世界へご案内しますよ♪

「ヒレ」と「ヘレ」

生まれも育ちも大阪の私は、間違いなく「ヘレ」と言います。そのテレビの東京出身のアナウンサーさんは、「今までの人生でヘレなんて聞いたことがない!」と言い切っていたのです。「ヒレ」としか言わないと。(苦笑)

そもそも「ヒレ」「ヘレ」の語源は、フランス語の「フィレ」です。

フィレ(部位の名前・フランス語)
牛・豚の柔らかく脂肪が少ない希少部位で最高級肉と言われる

ネイティブの発音では、ほぼ「ヒレ」 に近いように聞こえるようです。

しかし、大阪の昔ながらの洋食店(明治軒自由軒北極星アラスカグリル梵)ではほとんどのお店が「ヘレ」とのことでした。
※アラスカさんは、昔は「ヘレ」でしたが、現在では「フィレ」とされています

ただ、大阪の老舗洋食屋「重亭」さんは「ヒレ」と言っているそうで、番組では真相を電話で聞くと・・・

初代の店主の吉原政太郎さんが富山県のかたで、関東で下積み修行をしたことから、大阪でもそのまま「ヒレ」を使ったそうです。

もともとが関西の人ではなかったということなのですね~。

ということで、やはり「ヘレ」は関西限定の呼び方であるということのようです。

では、どうして「ヘレ」と関西では言うようになったのでしょうか? 「ヒレ」と「ヘレ」その歴史的背景について、次にご紹介しますね。
スポンサーリンク


「ヒレ」と「ヘレ」の歴史

 

ここからは、日本語の語源に精通する京都先端科学大学・丸田博之教授に番組でお聞きした話をご紹介します。

先生によると、そもそも明治時代の日本人は「フィレ」と言えなかったそうなんです。「フ の音の発音ができるまでにかなりの時間がかかったようです。

昭和初期の生まれの人だと、「フリピン」⇒「フリッピン」・「フルム」⇒「フルム」となったそうです。

そこで、発音しやすいように

関西では「フィレ」⇒「ヘレ」

関東では「フィレ」⇒「ヒレ」

と変化したと言われています。なるほどぉ~!!

そして、ヒレ=hre ヘレ=hre この「イ」と「エ」には深い文化、壮大な歴史が詰まっていると言うのです!

「イ」と「エ」の文化

明治時代までは、京都に都があったため、関西は国の中心として規範的な言葉を話していました。それに対し、江戸は独自性を発揮し、「ばる」や「ゲレス」など独特な発音で言葉を話していました。

というのも、規範性を重視する場合は「イ」、崩れて独自性を発揮する場合は「エ」を多用するのが日本語の一つの法則なんだそうです。

江戸っ子はこういう風にしゃべるんだいっ!といういわゆる「べらんめえ」口調というのがあったのかもしれません。「べらんめえ」「てやんでえ」などそうですね。

ところが明治維新の際、都が江戸へ移り、東京が国の中心になると関西と関東の言葉が逆転。東京が規範性を重んじるようになり、関西が独自性を発揮するようになったのです。

つまり、東京のヒレの「イ」に対し、関西ではヘレの「エ」に。そこで、「ヒレ」が「ヘレ」となったのです。ほかにも代表的な例えとして・・・

できない という言葉。

でき(い)ないという「イ」が関西ではでけ(え)へんと「エ」に変化します。このような法則の言葉の一つが「「ヒレ」と「ヘレ」だったのです。

これにて一件落着!・・・と思いきや、ここである新事実が!
スポンサーリンク


京都「ヒレ」説

実は京都では、「ヒレ」が優勢なのです。

京都は、もともと平安時代から言葉の規範は京都だということで、模範とされていました。中国から言葉が最初に伝わり、当時から変わらず日本語の規範となる場所、それが 京都 でした。

独自性を発揮し「エ」を多用する大阪とは対照的に、規範を重んじる京都では、あくまでも「イ」を多用したのです。先ほどの できないという言葉でいうと…


このように、東京よりも規範を重視する京都はあくまでも「イ」を守ったのです。

さいごに

先日テレビで、大阪出身と東京出身のアナウンサーが、スーパーで「ヒレ肉」か「ヘレ肉」かとすったもんだ言っていたお肉の呼び方。

関西では「ヘレ肉」と言い、東京では「ヒレ肉」と言うそうで、今回はそんなビミョ~に違う言葉の不思議、実はとても奥深い「ヒレ」 と「ヘレ」 の言葉のお話をご紹介しました。

いかがでしたか?

ヒレ=hre ヘレ=hre この「イ」と「エ」には実は言葉の深い文化、壮大な歴史が詰まっていたのです。

言葉の語源はフランス語の「フィレ」ですが、日本人にはなかなか発音ができなかったのです。

そのため発音しやすいように、関西では「フィレ」⇒「ヘレ」・関東では「フィレ」⇒「ヒレ」 に変化したのです。

その番組で詳しく解説してくださった丸田博之教授によると・・・

「ヘレ」は大阪の独自性を表す貴重な言葉

ということで、消えゆく大阪の一つの名残となっているとおっしゃっていました。

たかが「ヒレ」と「ヘレ」。

けれどここまで掘り下げて、いろんなことが分かりました。根っからの関西人の私、本当に先生の言葉は心に刺さりました。

ほかにも今では落語などでしか聞けなくなった言葉、 「つねうどん」 もその一つだと言っていました。ワオ!!

私の職場では、東京に住んでいた人や、関東出身の人もたくさんいて、とてもキレイな言葉に聞こえます。最近、歳を重ねるごとに、大阪の言葉って少し下品な感じなのかなぁ~・・・と思うこともあったのですが。

けれども今回この記事を書いていて、大阪のこんなあったかい?!言葉はいつまでも残していきたなぁ~と改めて思いました。
スポンサーリンク


コメント

タイトルとURLをコピーしました