スポンサーリンク
高野山金剛峰寺の襖絵に千住博さんが挑んだ!その感動について
弘法大師・空海によって開創された和歌山県にある 高野山 。2004年にはユネスコの世界遺産登録され、2015年には開創1200年を迎えました。
天空の聖地と称される 金剛峰寺(こんごうぶじ)は、真言密教の総本山で一山を代表するお寺です。
その金剛峰寺にある2つの部屋には、長い歴史の中でなぜか空白のまま残されてきた襖や床の間があり、44というその壮大な面に初めて絵を描くことになったのです。
高野山開創1200年を飾るにふさわしいと白羽の矢がたったのが、日本画家・千住博さんでした。
ある日、NHKで高野山の襖絵を千住博さんが挑んだという特集番組「高野山 千年の襖(ふすま)絵 空海の世界に挑む」を見た私は・・・
父の故郷でもあるので高野山のことは少しは知っていても、日本画も千住博さんという画家のことも何も知らず知識もなかった私は・・・
本当に感動しました!
今回はその感動をお伝えしたくて。その番組が再放送され、それを見ていただいた方がきっとよく分かると思うのですが・・・。
見逃した方にも、日本の歴史的な建造物のこんな素晴らしい出来事を、ぜひこれを読んで感動を共有していただければなぁ~と思いました。
素敵な襖絵を感じながら優雅なティータイムでもいかがでしょう? (^^)
スポンサーリンク
千年先まで残る絵を襖に描く
弘法大師・空海は真言密教の教えを説き、その修行と祈りの場として金剛峰寺を開きました。
森羅万象には仏の命が宿る
その真理を体得し、この世で悟りを開き、人の為に尽くす。高野山にはこの空海の教えを求める人々が集います。
しかし、長い歴史の年月で金剛峰寺が守ってきたものは、人々の信仰だけではありません。
金剛峰寺には、大広間には17世紀ごろ狩野法眼元信(かのうほうげんもとのぶ)が描いたと伝えられる「群鶴図」(ぐんかくず)、梅の間には同じく17世紀ごろ狩野探幽斎守信(かのうたんゆうさいもりのぶ)が描いた「梅月流水」(ばいげつりゅうすい)、柳の間には山本探斎(やまもとたんさい)による「柳鷺図」(りゅうろず)など数百年前の名だたる画家たちの襖絵がたくさんあります。
どうしてこれらの歴史あるものが守られてきたのか。
それは信仰の対象であったから。その時代の最高の芸術を千年もののちに伝えること、それが我々に課せられた任務であるのだと金剛峰寺の添田隆昭宗務総長という方がおっしゃっていました。
ん゛~、尊いお言葉ですね。
そんな中、金剛峰寺になぜか白い襖のまま残されてきた部屋が2部屋あるというのです。
お茶を楽しむ部屋だけでなく、仏門に入る僧侶が髪を剃り、俗世を捨てる決意をする場所でもあるという茶の間 と、釈迦が亡くなった日に火を焚き一晩掛けて祈りを捧げるという 囲炉裏の間。
そんな重要な儀式の場の2部屋。そこへこれから千年先に残る現代の日本画として千住博さんという画家が襖絵を描くことになったのです。千住博さんはそこから構想約6年をかけて、出来上がったのが2020年の秋だったのです。
その襖絵が奉納され、一般に公開された2020年秋、私は金剛峰寺へその襖絵を拝観に行きました。とてもすごかったです。
す ご い!!
という簡単な言葉しかないのかっ・・・と思うくらい表現にしきれない感動でした。
<span style=“color: シャープ999999; font-size: 12px;”>スポんサーリンク
日本画家・千住博
ここで、私が拝観したときに紹介されていた千住博さんについてをレポートします。
1958年東京に生まれ。
1987年東京藝術大学大学院博士課程単位取得満期退学。
1995年ヴェネツィアビエンナーレ東洋人初の名誉賞受賞をはじめ、その後各国の賞を受賞し、日本画の存在やその技法を世界に認知させた。
ニューヨーク在住で、活動は国際的で多岐にわたる。
調べている中で知ったのですが、世界の美術界において日本画で評価を得るのは難しいのだそうです。
そんな日本画界にこのように海外を拠点にし評価を得ている日本画家さんがおられること、私は全く知りませんでした。。。
スポンサーリンク
断崖図と瀧図
千住博さんのニューヨークのアトリエで始まった制作風景では、和紙の厚さにこだわり、その和紙を揉んで断崖のシャープさを出すという。
そこで薄い和紙でないと、ごつごつとした断崖のシャープさがでない・・・
他人はごまかせても自分はごまかせない
と、とてもこだわっていました。
瀧図では、貝殻から作られる「胡粉」(ごふん)という白色顔料を上から流し、エアスプレーで水しぶきを表現。腰に負担がかからないように腰痛防止ベルトを巻き、とても絵を描いているとは思えないような作業ぶりでした。
千住博さんは、芸術家ならではのこだわりを主張されながら、煮詰まったり緊迫した雰囲気の中でも声を荒げることなく淡々と仕事を進められ、スタッフさんとのやりとりも、きっと長年の限りない信頼関係があるのだろうなぁ~、と思わせるスマートぶりでした。
千住博さんの仕事風景の密着にも感心しましたが、完成した襖絵を襖にする表具屋さんの仕事!
私の父が建具屋だったということもあり、とても興味深く、こちらが固唾をのむような緊張感で見ていました。
請け負ったのは京都の老舗の表具屋さん。全44枚で断崖を表現している襖絵は、一分の狂いもなくつなぎ合わせなければいけません。
これぞ表具師さんの匠の技!
というのを見せつけられました。
「この仕事あっての私。千年先に私のこの仕事を見て時代が答えを出してくれる」と優しい笑顔で言う表具師さんの言葉がまた身に沁みました。
<span style=“color: シャープ999999; font-size: 12px;”>スポんサーリンク
さいごに
父の故郷でもある高野山。その総本山・金剛峰寺の襖絵を千住博という日本画家が手掛けるというNHKのテレビ番組を見て感動した私。
襖絵が奉納された2020年の秋には実際に高野山・金剛峰寺へ拝観にも行き、それらの感動を忘れないように残しておきたくて今回ここにご紹介しました。いかがでしたか?
千住博さんは構想から足掛け6年という年月をかけてこのプロジェクトに挑んでこられました。
奉納された襖絵を見た千住博さんの第一声
言葉がないですね・・・。もう私の画業はこれでおしまい・・・
と心から感動されていました。
そして瀧図を見て
冷たい瀧かと思っていたのが、ここに来て見たこの瀧がとても暖かくて慈しみに満ちている。私が描いた瀧の中で一番暖かい瀧だ
と言っていました。
暖かい瀧 想像を超えた世界観ですね。。。
そして、襖絵を奉納後に金剛峰寺の中でも一般の人は拝観できない本尊弘法大師座像が祀られた部屋に案内された千住博さんは、その現実を目の当たりにして驚いていました。
というのも、ちょうど瀧図に取り組んでいるその制作過程で、「この絵の奥に弘法大師・空海が居ると思って描いた」と言っていた襖絵のその奥に、本尊弘法大師座像が本当に鎮座していたのです!
私も見ていて鳥肌が立つような感動でした。
今回リサーチしていて見つけたNHKエンタープライズの番組プロデューサーさんのコメントでは、この場面は思わぬ展開で、この時の千住さんの表情を撮れたことこそがドキュメンタリーの醍醐味だと。
また、同プロデューサーさんは、「地味な番組ですが、美術や文化に興味のない人もたまたまチャンネルを合わせたら引き込まれる番組になっていたらいいと思う」 とも。
本当に・・・まんまとハマり、引き込まれましたよ、私は。(^-^;
テレビは、本やラジオに比べて想像力に欠けると思われがちですが、テレビ好きの私は今後もこのような番組に出会って、感動を覚え、知識を広めたいと心から思いました。
さいごに、金剛峰寺にあるその他の全ての襖絵は撮影禁止だったのですが、千住博さんの今回の襖絵は、千住博さんの配慮で撮影が許可されているとのことで、私も感動を写真に収めることができました。
この芸術に対する寛大さにもまた、千住博さんの男前さを感じました。感謝です。拍手
スポンサーリンク
コメント