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最近、職場などの会話でよく耳にする言葉・・・
「そもそも」
何気なく私も使うときがあるのだけれど・・・ついつい多用し過ぎると、なんだか違和感を感じてしまって。
もしかして、誤用していたり意味をはき違えてることってないのかな?!と、ちょっと気になってしまい、早速調べてみることにしました。
ついついなんとなく口癖のように使ってしまう、そんな言葉ってありますよね。
今回はそんな言葉のひとつ、「そもそも」の意味を私なりにじっくり考察してみました。一緒に見ていかれませんか?!
「そもそも」用法、「基本的に」という意味はある?ない?
私が「そもそも」という言葉に違和感を感じ、意味を再確認しようと思ってリサーチしていたそんなとき、目に飛び込んできたのが2017年の国会答弁での阿部首相の発言の新聞記事でした。
『そもそも』には『基本的に』という意味もある、と答弁し、専門家から疑問の声が出ていた。
引用元:https://mainichi.jp/articles/20170512/k00/00e/040/296000c
このときの質問者である山尾志桜里(現 菅野志桜里)議員を嘲笑したというのです・・・そんなことも知らないのかというように。ちょっとショックでますます気になりました。
そこで、こんな動画を見つけました。私たちを代表するはずの議員さんと、一国の首相とのなんだか大人げない、あげ足取りのようなやり取り!!
ご覧ください。
この茶番劇をじっくり見ている時間の無い方に、問題の部分を抜粋して文字にしてみました。
阿部首相:「 “そもそも” という言葉の意味について、山尾委員は “はじめから” という理解しかないと思っておられるかも知れませんが、”そもそも” という意味は、これは、辞書で調べてみますと・・・」
山尾議員:「調べたんですね」
阿部首相:「念のために調べてみたんです。念のために調べてみた訳でありますが(笑)これは、”基本的に” という意味もあるということもぜひ知っておいていただきたいと。これは多くの方々はすでにご承知の通りだと思いますが、山尾委員は、もしかしたら、ご存じなかったかも知れませんが、これはまさに “基本的に” ということであります。つまり、『基本的に犯罪を目的とする集団であるか、ないか』が対象となるかならないかの違いであって。これは当たり前のことでありまして」
山尾議員:「詭弁を弄して必死にごまかす訳ですけれども、今まさに総理は笑っちゃいましたね。自分で馬脚をあらわした訳です。『調べてみました』と。もし本当に最初から “そもそも”は基本的にという意味であると分かってたなら、調べる必要はないんですね。総理、自分で笑っちゃってるじゃないですか?」
阿部首相:「先ほど私が笑ったのは、私自身ではなくて、そういうことを聞かれたことについて、思わず苦笑してしまった訳でございまして。『失礼』というヤジがありましたが、まさに、今、私の笑いについて解説をされましたが、それが違うということを申し上げさせていただいた訳でございます。」
山尾議員:「器が小さいんだよ!!」
最後の一言、痛快でした。(笑)
では、まず初めに「そもそも」という言葉の意味を再確認しておきましょう。ここのところをしっかり把握しておかないと、「基本的に」という意味があるのかないのか、考えようがありませんので。
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ふたつの意味がある「そもそも」
「そもそも」には、品詞の異なるふたつの意味があります。
- 接続詞
前に述べたことを受けて改めて事柄を説き起こすとき
「いったい」「さて」「だいたい」などという意味をもちます。
☆そもそも事の発端は~。
☆そもそも私が今あるのは彼のおかげだ。
- 名詞
接続詞から転じた用法(副詞的にも使う)
「はじめ」「最初」「発端」などという意味をもちます。
☆このやり方にはそもそも反対だった。
☆この答えがそもそも間違っているのだ。
平安時代の竹取物語にも以下のような一文があるのです。
抑(そもそも)、いかやうなる心ざしあらん人にか、あはんとおぼす
(そもそも、どのような心をお持ちの人と結婚したいとお考えですか?)
引用元:http://roudokus.com/Taketori/002.html
この場合は、「いったい」という意味で使われています。また、漢字では「抑」と書き、漢文訓読に多く使われたといわれています。そしてその「抑」を重ねて使うようになったようです。
このように、「そもそも」は古くから使われている言葉であり、文語から口語へとしっかりと息づいている言葉なんですね。深いです。
では、本当に「そもそも」という言葉には、「基本的に」という意味はないのでしょうか?
「基本的に」の本来の意味と比較しながら、私なりの考えとあわせてご紹介したいと思います。
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『基本的に』の意味と比べて考えてみよう
毎日新聞が調べたところによると、30以上の辞書と、そして「言海」(大槻文彦という国語学者が明治時代に編纂した辞書)にまでさかのぼって調べてみて、「そもそも」には「基本的に」という意味が記載されているのを発見することはできなかったといいます。
朝日新聞デジタルでも「広辞苑」「日本語大辞典」「大辞林」「日本国語大辞典」には「そもそも」を「基本的に」と説明されているものはないと書いています。
我が家にある辞書でも調べてみましたが、ごくごく一般的な「小辞林」なので、もちろん「基本的に」という解説はありません。
【そもそも】(名) はじめ。ことのおこり。もともと。(接)ある事がらをとき起こすのに使うことば。いったい。さて。
しかし、大辞林 には、”どだい” という解説があり、”どだい” を調べると「もともと」とあります。
【どだい】(名) 礎の上に横たえて、柱を受ける台。もとい。(副)もともと。元来。本来。
この “もともと” というのが転じて 『基本的に』 という理解になってしまったのでしょうか? いや、しかし『基本的に』は、”事が成り立つ大本に基づいて” とあります。
こうして考えられる順を追って辞書を探してみても、「そもそも」を「基本的に」とバッチリ解説しているものはないのです。
これら辞書の解説をじっくり私なりに考えてみました。そして、「基本的に」は土台となる大本の事柄全体を指し、「そもそも」は前に述べたことを受けたり、あるいは物事の始りの段階を指すので
ということに私としては行きついたのです。
今回、阿部首相の『そもそも』には『基本的に』という意味もあるという記事が目について、ここまでの結論に辿り着いたのですが、発端は、「そもそも」が日常会話で耳についたことからでした。
なんなんだろう?この「そもそも」って…。最後にこの気になる違和感についても触れておきたいと思います。
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多用に気をつけよう!その「そもそも」
職場での会議や、同僚とのおしゃべりで、なぜか耳についたのが「そもそも」でした。
ここまでの流れで意味も見てきたので、物事の始まりや問題個所に話を戻したりする場合に使われるということもわかりました。
しかし、日常会話やビジネスシーンでこの「そもそも」を多用すると、事態が前に進まない論議になってしまいがち。だから耳について、それが〝違和感〟と感じてしまうんですね。
では、そうならないためにも、回避方法として別の類義語をご紹介しておきますね!
- 接続詞的な使い方
☆そもそも事の発端は~。⇒だいたい事の発端は~。
☆そもそも私が今あるのは彼のおかげだ。⇒本当に、私が今あるのは彼のおかげだ。 - 名詞的な使い方
☆このやり方にはそもそも反対だった。⇒このやり方には当初から反対だった。
☆この答えがそもそも間違っているのだ。⇒この答えが元々間違っているのだ。
特にビジネスシーンでは「そもそも」の多用を避け、より効果的な説明や論議ができるようにしたいものだと、改めて実感しました。
さいごに
たまたま職場で最近よく耳にすることがあり気になった「そもそも」という言葉。「基本的に」という意味があるのかも気になって調べてみました。いかがでしたか。
- 接続詞
前に述べたことを受けて改めて事柄を説き起こすとき - 名詞
接続詞から転じた用法(副詞的にも使う)
二通りの意味・使い方があるというものでしたね。
そして、安倍首相の「そもそも発言!」については、「基本的に」は土台となる大本の事柄全体を指し、「そもそも」は前に述べたことを受けたり、あるいは物事の始りの段階を指すので、「そもそも」の意味には「基本的に」という意味はない!という私流の決断となりました。
そういえば、ずいぶん前にテレビか何かで見て、能だったか狂言だったか・・・「そもそも」という言葉を発するのに、10年要するというのを聞いた記憶があるのですが。
言い方は「そぉ~~~もぉ~~~そぉ~~~もぉ~~~」と、とても長く丁寧に発せられていました。感動したのですが、これについてもリサーチしてみたいと思っています。
このように、そもそも・いよいよ・たまたま・もともとなどの言葉は、畳語(たたみご)といい、元はその単語一つで意味をなす言葉を反復して使われた一種の合成語ともいわれています。
これらについても、また次の機会にでもご紹介できたらいいな、なんて思います♪
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