シネマ歌舞伎「廓文章 吉田屋」を見て感動!おすすめです!!

日常

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歌舞伎鑑賞ってなんだか、難しくて年より臭くて・・・なんて思っている人は多いんじゃないでしょうか。私も歌舞伎を見るというのはとてもハードルが高いと思っているうちの一人でした。

でもちょうどお正月休みに、映画館で上映されるシネマ歌舞伎というのを見ました。演目は「廓文章 吉田屋」(くるわぶんしょう よしだや)。これがまた、とても感動したのです。

廓文章 吉田屋

廓文章 吉田屋

シネマ歌舞伎は、歌舞伎の舞台公演を撮影したものを全国の映画館のスクリーンで上映するというもので、NHK-BSの減波などにより歌舞伎の舞台放送が減少していく中、歌舞伎を見る機会がどんどんなくなっていくことを懸念して、2005年から始まったのだそうです。

最近、日本舞踊や歌舞伎というものに少しずつ興味をもった私が、歌舞伎を格安で気軽に見たいと思っていたそんな時に知ったのが「シネマ歌舞伎」でした。

今回は月イチ歌舞伎「廓文章 吉田屋」の魅力をご紹介したいと思います。

私のように歌舞伎を見てみたいけれど・・・と思い迷っている人に、ぜひおすすめです。心身のOFFにまずこれをちょっと読んでみて、ぜひ幻想の世界「シネマ歌舞伎」を見に行ってみませんか?

歌舞伎界のゴールデンコンビが演じる男女の恋模様

 

「廓文章 吉田屋」は上方歌舞伎の代表作。(※上方歌舞伎とは、江戸の荒事・様式美に対し、和事・写実芸を得意とし人形浄瑠璃の影響が強い関西歌舞伎とも言われるもの。)

作者は不詳ですが、実在の遊女「夕霧」をモデルにして近松門左衛門が書いた人形浄瑠璃「夕霧阿波鳴渡」(ゆうぎりあわのなると)の吉田屋の段というのを書き換えたものです。

昔の遊郭の遊女というのは、今でいう風俗店で働く女性というイメージとはかなり違います。当時の遊女はお座敷でのデートがメインで、どちらかと言えば、「銀座の高級クラブのホステスさん」に近いような感じですかね。

遊郭の遊女

遊郭の遊女

和歌や俳句などをたしなみ、(営業用の)美しい恋文が書け、お客さんの好むお芝居や古典芸能の話題についていけるような教養を身に付けている庶民あこがれの存在だったのです。

なかでも、「夕霧」はとても有名な遊女で、夕霧を題材にしたお芝居は数多くあり、「夕霧もの」というジャンルが存在したほどなのです。

余談はさておき、その遊女役に坂東玉三郎、遊女に入れ込む若旦那役を片岡仁左衛門という、歌舞伎界きってのゴールデンコンビの主演です。

お二人の円熟した芸と色気と華やかさで、美しい・・・本当に美しい姿は圧巻です。

このお二人のコンビは、初共演以来現在まで約50年にも及ぶそうで、仁左衛門さんはかつて片岡孝夫と名乗っていたことから、「孝玉ブーム」と言われるほどの人気でした。映画は、2009年の歌舞伎座さよなら公演の舞台が上映されます。

では、簡単にですが「廓文章 吉田屋」のあらすじをご紹介しましょう。
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あらすじ

大みそかのある冬の日、遊女「夕霧」(坂東玉三郎)に入れ込み放蕩の末に、勘当されてしまった藤屋の若旦那・伊左衛門(片岡仁左衛門)は、勘当された伊左衛門を心配して病に伏せっているという恋人の夕霧に会うため大坂新町の吉田屋へみすぼらしい姿でやって来ます。

昔は贅沢な着物を着ていた伊左衛門。今は紙を貼り合わせて着物にした「紙衣」(かみこ)というものを着ています。でも、この「紙衣」が実は夕霧がくれた恋文を貼り合わせたものなのです!

贅沢な着物はなくても、夕霧の愛を身にまとうという・・・なんともロマンチックな伊左衛門ですよね。

この ” 勘当されたのでみすぼらし姿になって ”というのをあらかじめストーリーを読んで私は知っていたのですが、映画で現れた仁左衛門さん(伊左衛門)の衣装は、とてもみすぼらしいとは思えないものだったのです。

なので、「おやっ?!」とは思ったのですが・・・それは舞台なので紙を本当に使うことはできなかったのでしょう。

でも、その着物の模様には文字がたくさん書かれていたので、これもまた不思議な柄の着物だなぁ~・・・と思ったのですが、今回詳しく調べてみて納得しました。

そんなお金もないみすぼらしい姿でやってきたのですが、廓「吉田屋」の主人とおかみのおかげで伊左衛門は夕霧に会えることになりました。

ところが、夕霧は今日は調子がいいので、別のお座敷に出ていました。伊左衛門はすねてしまいこたつでふて寝をしたりと、本当に面白いくらいのやきもちやきぶりです。

やっと夕霧が登場します。

これがまた、本当に美しい・・・なんとも言えない玉三郎さんの妖艶さは見物です。(隣で見ていた着物姿のおばさまは、玉三郎さん登場のシーンでは、前のめりになり拍手喝采でした、映画なのに。)

そこからは、すねたり、喧嘩したり、仲直りしたり・・・コメディータッチで面白い見せ場となります。

これまた余談ですが、遊女が懐に「懐紙」(かいし)という二つ折りの和紙の束を入れています。これは、茶席ではお菓子を取り分けた時にお皿がわりに敷いたり、ハンカチやメモ用紙や鼻紙にしたりなど万能のものです。

それを夕霧が一枚取り出し、口にくわえたシーンは本当に色っぽかったです。美しすぎます。

今回こうして調べていて分かったのですが、この懐紙はもちろん今でいうティッシュの役目もあり・・・遊女の枕元にも常備されているそうです。

なので、遊女が懐紙を口にくわえているというのは、かなりの臨戦態勢なのだそうです。

そういうのも、歌舞伎にするとこんなに艶やかな玉三郎さんの姿で演じられるのだと思うと、また感動しました。

ラストは、若旦那・伊左衛門の勘当がとけて、夕霧を身受けするための大金が吉田屋に届けられ、めでたしめでたしとなります。

なので、「廓文章 吉田屋」はお正月にふさわしいおめでたい作品とされています。
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さいごに

お正月に見た、シネマ歌舞伎「廓文章 吉田屋」があまりにも素晴らしく感動したので、どうしても書き留めたくて、またこれを読んでくださる方にも機会があれば見ていただきたくて、今回ご紹介しました。

いかがでしたか?

物語は元禄時代の大阪の廓の遊女と若旦那の単純なラブストーリー。「廓気分」(くるわきぶん)と言われる独特な優美な雰囲気を楽しむ、初心者にも分かりやすい歌舞伎です。

元禄時代の大阪というのは、想像のできないくらい豊かな時代だったようで、上方(関西)の文化や経済も最盛期でした。

そんな時代の放蕩息子ですから、やきもちやわがまま、すねたり好いたり、なんていうのも本当にバカバカしいくらいなのでしょう。それがまた、浮世離れした面白さでもあるのです。

それに何といっても玉三郎さんの美しさです。

かつらと衣装、合わせて約30キログラムというのに、あの艶やかな姿と動き・・・そして豪華絢爛の衣装。

そして片岡孝夫時代からファンなのですが、仁左衛門さんのなよなよした若旦那ぶりもまたカッコイイのです♪ 一見の価値ありです。

夕霧は「実在の遊女」と初めにも書きましたが、実際の夕霧は若くして病死しています。

それが残念でならず、「夕霧もの」というのはこのように、最後は死なずに身受けされて幸せになる、という物語が多いそうです。

そんなシネマ歌舞伎、映画とはいえども役者さんの息づかいや豪華絢爛な衣装の刺繍など細かい部分まで目にすることができるのです。

格安で気取らずに見れる、まずはここからファーストステップでいかがでしょう?!お役に立てれば幸いです。
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